筆者はYou Tubeで動画をよくみるのですが、中でも「きまぐれクック」がお気に入りです。
魚介類を仕入れて捌いて絶品料理を作るチャンネルですが、絶大な人気です。
今回はその中から面白い動画をみつけたので、それをきっかけにフグの毒について本気出して調べてみました。
「ぜっっったいに食べてはいけない、身まで猛毒のフグ☠️『仙人フグ』を解剖してみたら・・・」
ふぐって捌くのに調理師免許が必要っていうのはよく聞く話で、毒のある部分とない部分をしっかり切り分ける知識能力がないと捌けないわけです。
ただしこの仙人フグというのは一般的なフグなら食べられるとされる
「身」も食べることが出来ないそうです。
そこで気になりました。
それらを徹底的に調べてみました自己満足の記事です。
フグの毒はどんな毒なのか?
フグってとても美味しいそうですよね。
身はてっさと呼ばれる刺し身や、白子はクリーミーで絶品です。
あの透き通った刺し身は一度食べてみたいですね。
筆者は魚食べられないんですけどね笑
しかしフグには毒があるので誰もが簡単に食べれるというものではありません。
フグは猛毒テトロドトキシンをもっている
中には毒を持たないものもいますが、
フグの多くはテトロドトキシンという猛毒をもっています。
このテトロドトキシンとはかなり強い毒でよくネタにされる
「ぺろ。これは青酸カリ。ぺろっ」
の青酸カリの約850倍の猛毒です。
致死量でいうと2-3gとごく微小です。
2-3gだとひとくち食べただけで死んじゃうんじゃないの?
という疑問がわきますが、フグの体内に含有するテトロドトキシンの量は変化します。
例えば国内で取れるフグよりもフィリピンなど南洋で取れるフグのほうがテトロドトキシンの含有量が多いようです。
さらに個体で言えば「クサフグ」と「ショウサイフグ」を比較してみると、
猛毒とされる肝臓部分でショウサイフグはクサフグの約20倍の毒性を持っています。
ショウサイフグの肝臓約10~100g摂取することで致死量となります。
ここで新たな疑問が。
フグの毒は餌に由来する
フグの毒は季節や場所によって強さが変わるのはわかりましたが、
なぜ?それらが影響するのでしょうか?
⇒フグの餌によるため
フグはヒトデや貝やカニなどを食べます。
そしてヒトデや貝の餌となるのが水中の細菌(ビブリオ菌)なのです。
細菌 ⇒ ヒトデ ⇒ フグ ⇒ 人
と食物連鎖の過程で毒が凝縮されて人間がその部位を食べると中毒を起こす
というカラクリになっていたのです。
でもヒトデはともかく貝やカニは人間も食べるし、他の魚も食べたりするんじゃないの?
フグは他の生物が食べない海底にいるエビやカニ、貝やヒトデなどを食べます。
例えば「スベスベマンジュガニ」こちらもテトロドトキシンを持った生物です。
フグは他の魚に比べ大変立派な歯を持つため固いヒトデや貝、カニを食べやすいというのも一つの要因といえるでしょう。
そして毒を持つ生物界でテトロドトキシンに耐性のあるフグがその界隈での食物連鎖のトップとなっているためフグ=毒のイメージが強いのです。
フグに天敵はフグ
フグのテトロドトキシンは人間のみならず多くの生物へ有害です。
そのためフグを食べる魚もおらず天敵がいないように思われますが、
フグの天敵はフグなのです。
フグはテトロドトキシンに耐性があるためフグを食べても死ぬことはないのです。
フグの稚魚は体内に含有するテトロドトキシンの量が少ないので毒が弱く他の魚に食べられる可能性がある
完全無毒のフグは存在しない
今までの話から
フグが有毒なヒトデや貝を食べなければ完全無毒のフグが養殖できるのでは?!
と思った人も多いかもしれません。
しかし実際完全に海洋と切り離しがなされないことには無毒化はできず、
いまだ完全無毒のフグはつくられていないようです。
テトロドトキシンに対して解毒剤がないこともあり、フグはしっかり調理されたものを食べるしかないのです。
毒のある部位は実は血液
毒のある部位は?と考えたときに大多数の人は肝臓や卵巣と思い浮かぶかとおもいますが、
実際のところは
血液
にテトロドトキシンが含有しています。
そのため一般人が安易な発想で
内蔵さえ取ってしまえば、
簡単に食べれるじゃん!
と勘違いした結果、毎年20~30件ほどのフグ毒による中毒者が出ています。
幸いなことにフグ=毒があるという認識が一般化しているためかなり減少傾向にあり、
死亡者も年に1,2人というのが現状です。
フグを味噌汁にして食べて中毒というのがよくあるパターンのようです。
血の処理が不十分であったり、フグを調理したまな板の洗浄が不十分で中毒の危険性もありえる
もちろんフグの種類によっては仙人フグのように身も猛毒の場合もあるので
素人調理は絶対避けるべきと言えるでしょう。
やはり
フグの調理は免許をとってから
というのが大切ですね。
内蔵などの処理も重要
魚をさばいた際に出てくる内臓ですが、三角コーナーへポイッとされる方が大多数だと思います。
しかしフグの内臓を同じ処理しては絶対にいけません。
想像してください。三角コーナーへ入った有毒部位をゴミに出す際、悪いことを考えた人間があなたの生ゴミから内蔵を抜き取りなにかに使う可能性を。
それこそ眼鏡のちっちゃな探偵さんの出番の事件となります。
内蔵や有毒部位はしっかり容器を分け鍵をかけて保存し、行政指示にしたがって専用業者に処分が必須です。
フグを安全にそして安価に食べる方法は?
これだけ見てくるとやはりフグは危険な毒を持っていることがわかりますが、
食べる方法はというと
フグ調理師免許をもった料理人の提供する料理をいただくことしかないように思えます。
ただしフグの第二のイメージ = 高いですよね。
実際てっさや白子はちょっと気軽に食べようかな~という金額ではないですよね。
そんなあなたに朗報です。
フグの卵巣はいかがでしょう。
いやいや、さっき卵巣は有毒だって言ってたよね?
何訳のわからないことを言ってるの?
と思われるかもしれませんが有毒なフグの卵巣を食べる方法があるのです。
しかも結構安い!
石川県で作られる
「ふぐの子 ぬか漬け」です。
フグの子ぬか漬けとは
そのままでは有毒なフグの卵巣も処理をしっかりすることで無毒化することができます。
実際の工程としては
とたったこれだけに見えますが、大変なのはその期間
約2年以上
無毒化のメカニズムもはっきり解明されていないことから
一般人は絶対マネしないでください。
漬け込みの期間が短かった無許可の業者の製品は無毒化されておらず、食べた人を中毒に陥れる場合もありました。
これだけ手間のかかるぬか漬けですからきっとお高いんでしょう・・・
いえ、実はこれがなんと安いんです。
なんと1つ千円前後で購入することができるのです。
味はというと結構濃い目なので晩酌のお供やお茶漬け、パスタなどにいれて食べると、とても美味しいです。
しっかりテトロドトキシンの含有量をチェックして人体に影響のないものしか販売していないので安心してお召し上がりいただけます。
是非石川県にお越しの際には一度ご賞味ください。
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